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大阪城公園で「家をゆっくり引き起こす」アート-震災発生で企画変更

鏡張りの大きな家を大勢で引き起こすアート作品

鏡張りの大きな家を大勢で引き起こすアート作品

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 大阪城公園内の広場(大阪市中央区大阪城1)で13日、鏡張りの大きな家を大勢で引き起こすアートプロジェクト「H.H.H.A(ホーム・ホテルズ・秀吉・アウェー)」が行われた。

引き起こし後の作品が写真中央にある

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 同プロジェクトは大阪の街全体をカンバスに見立て、府内の公共空間にアート作品を展示公開する「おおさかカンヴァス推進事業」によるもので、公募によって選ばれた23作品の中の1つ。

 同作品アーティストの加藤翼さんは2007年から「ハードコアコミュニケーション」と称して、東京都内で多くの人の手で巨大な構造物を動かすプロジェクトを実施してきた。参加者らが「協働」して構造物を転がすことで共有・共感が生まれ不思議な感覚になるという。今回は同プロジェクトに参加したスタッフ4人の部屋を実際に測り、組み合わせたものに大阪の風景が映り込むよう鏡張りにした構造物を用意した。

 しかし実施予定の初日の12日は、前日に東日本大震災が発生した中で作品のモチーフが家となっている同プロジェクトを「行うべきか自粛するべきか」について加藤さんやスタッフ、参加希望者らで話し合ったものの結論が出ないまま中止とした。翌13日も「イベント実施現在検討中。御意見募集中」と書いた立て看板を設置し話し合いは続けられた。

 予定時刻を過ぎたころ、集まった参加希望者を前に加藤さんが「東北の家が流されている状況下で家を動かすイベントはどうかとみんなで話し合ったが、今回はみんなで力を合わせて家を引き起こすイメージでやりましょう」とあいさつ。当初予定していた「引き倒す」パフォーマンスではなく、ゆっくりと「引き起こす」内容に変更して行うことにした。引き起こす際に構造物が滑らないよう左右・前方からロープを引く人員、後方でバランスを取る人員を配置しながら、構造物は大阪の風景を映しながら約1分半の時間をかけて、ゆっくりと引き起こされた。

 都島から参加した鈴木理恵さんは「引き起こした後にみんなが笑顔になって散っていくのが良かった」と話していた。

 加藤さんは「ゆっくりと引き起こした分、大変だったがその分共有時間は長く、新しい体験だった」と振り返った。

 次回は今月20日、万博記念公園(吹田市)で行う予定。

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