京橋の小規模の店舗やオフィスから成る複合施設「鶴身印刷所」(大阪市城東区新喜多1)に古本店「くらしと本のみせ SUS(スウス)」がオープンして1カ月半がたった。
古本店「くらしと本のみせ SUS(スウス)」の店主、木下知子さん
同印刷所は、戦前に小学校の講堂として建てられた建物で、1946(昭和21)年に鶴身精一さんが起業。ニッカウヰスキーのラベルをはじめ、お菓子会社や香料会社の印刷を請け負った。2015年に4代目の鶴身知子さんが継ぎ「印刷所では落ちていくまま」と事業を畳んだが、「町に開かれた場所にしたい」と建物は残してリノベーションし、今年4月21日に複合施設としてオープン。現在、木工工房、カメラマン事務所、蝶ネクタイブランドのアトリエなど11部屋中10部屋が入居している。
102号室にオープンした同店。店主の木下知子さんは、これまで古本市のイベントなどで古本を販売していた。偶然同工場の不動産担当者と知り合い、内覧会と古道具の販売会に足を運んだところ「こんなすてきなところでお店ができたら」と気に入った。鶴身さんからの「入ってほしいテナントの一つが本屋」という一言に後押しされ、「ほかにもさまざまな店が入るし楽しそうでわくわくした。やっぱりここで店を持ちたい」と決意した。
蔵書は約2800冊。そのうち絵本が半数を占める。知り合いに薦められて良かった絵本や、木下さんが気に入った本を集めたという。「本が好きと聞くと真面目そうなイメージだが、ここでは気楽に暮らしの中に本があればという思いから、店名を『くらしと本のみせ』とした」と話す。本以外にも、ほかの部屋に入居している木工工房「toi.toi.to-i!」の作品や「atelier le chainon(アトリエ ル シェノン)花のアトリエ」の作品の展示販売など、雑貨も取り扱っている。
「今から始めよう、ここでやってみようと考える人の一歩を応援したかった。『こんな人に入ってほしいな』と自分が願っていた職業の人ばかり集まってくれた」と鶴身さん。11月1日には103号室にコーヒー店がオープン予定。4日には自分で描いた絵を石版印刷機で印刷するワークショップを行う。「食べる、学ぶ、作るなどいろいろなことをやっていきたい。その中で少しずつ施設を知ってもらえたら」と呼び掛ける。
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