都島区内の美容室「Pina(ピーナ)都島店)(大阪市都島区都島本通1、TEL 06-6925-0901)で3月22日、落語会「美遊亭」が開催された。
美容室で落語という一風変わった企画は、今回ですでに5回目。同店を含め全8店舗のサロンを統括するミネグループ・前田浩司社長の趣味と人脈で開催を続けている。
「江戸時代の美容室にあたる髪結い床は、人々から『浮世床』と呼ばれてきた。地域の人が集まりいろいろな話をし、いろんな情報が集まる所」と話す前田社長。美容室での落語はあながち異質ではないという。
出演者は、プロの落語家である林家染弥さんと笑福亭喬若さん。素人の部として美遊亭好路さん(前田社長)、我或家真理夢さん(同店スタッフの実父)。真理夢さんは大学の落語研究会出身で、今回出演するプロの先輩にあたる。
「日々、私たちは美容を通じて皆様に喜びや幸せを感じて頂けることを大切にしているが、今回は笑いを通じて、同じように喜びや幸せを感じて頂きたい」とは同店の石田店長。大阪人の根本・エキスである笑いの文化を、日ごろ見る機会の少ない方々にも身近に感じてほしいという前田社長をはじめとする、スタッフ一同の思いが込められている。
前回は小学校の多目的ホール、その前は毛馬の美容室など、毎回場所を変え年1回のペースで開催されるこの寄席。今回集まった客は40人強。店内POPやチラシなどで呼びかける以外には、あまり大々的な宣伝はしないというものの会場は満席に。たったの200円という入場料の安さに加え、抽選会やおみやげまで付いてくる。
演目は、美遊亭好路さん「相撲場風景」、我或家真理夢さん「犬の目」、笑福亭喬若さん「動物園」、トリは林家染弥さんで、桂三枝師匠の新作落語「読書の時間」。それぞれのマクラでは「鏡の多い美容室ではお客さんが倍に見える」(喬若さん)、「都島界隈を見渡すと、さすが大阪と思わせる面白さがある」(染弥さん)など今回の場所ならではの話で盛り上がる。
上演後、染弥さんは「最初美容室でやるという話を聞いた時はセッティングが可能なのかと思ったが、お客さんとの距離が近いのでやりやすい。美容室のように人が集まるお店でやる落語はいろんな発見がある」とコメント。喬若さんは「僕には、美容室で落語をする意味がある」と切り出し、頭を触りながら「上方(髪型)落語を広めていきたい」とオチまで。
過去にも「子どもちゃんのカット教室」など、地域住民が参加できる企画や美容イベントを実施してきた同店。今年6月には、「自分でできる浴衣の着付け&ヘアアレンジ&メーク教室」の開催を予定する。