「水都大阪2009」のシンボル的場所・中之島。2009年は中之島公園再整備もされ、景観が大きく変わる。
「水都大阪2009」開催中はいつもの中之島公園が「水辺を楽しむ」特設会場へと変化する。会場一帯は「水辺の文化座」とされ、さまざまな催しを開催する。上写真は「水辺の文化座」の昼のイメージ。
■「つくる」「あそぶ」「はなす・観る」という3の機能をもったゾーンで構成
つくるところ・・・会場にできる工房で、不要になった身の回りのものを再利用してモノ作り。アーティストと一緒に自分たちの手で風景を変えていく体験を共有する。廃材で飾りや灯りを作ったり、使わなくなったスポーツシューズをサンダルに改造したり・・・。子どもから大人まで楽しむことができるという。
あそぶところ・・・全国的にも展開されている「おもちゃ交換バザール」を常時開催。不要なおもちゃをポイントに交換して、そのポイント数で別の子どもが持ち寄ったおもちゃに交換することができる。さらに、巨大ゲーム(サッカーコート)を設置し、常設の遊び場とするとともに、廃材によるスタジアムづくりも実施。
はなすところ・観るところ・・・水に関する仕事を手がける「水の達人」などによるトークショーやレクチャーを開催。会場にはダンサーや大道芸人、パフォーマンスアーティストが神出鬼没に登場する。
■夜の中之島が「灯りの島」に
夜の水辺の文化座(左写真・イメージ)は昼とガラっと表情を変え、デートスポットとしても注目を集めそうな「灯りの島」となる。
環境型の灯りのほか、週末にはアーティストによる芸術的な光りの演出など、多様な灯りプログラムを用意し会場を彩る。
さらに、灯明を用いて巨大な地上絵を描いたり、願いを書き込める絵馬のような灯篭など、参加型のプログラムもあわせて展開する。
このほか、会期中の週末・連休を中心に、アーティストが改造した船が中之島公園に停泊し、船上や各船着場でパフォーマンスも行う。
土佐堀川左岸(淀屋橋~東横堀川間)には、川床が登場。試験的に行った昨年の実施が好評だったため、会期中も実施することになった。船が行き交う川、対岸の緑美しい中之島、さらに西側にはライトアップされた大阪市中央公会堂など近代建築を望む絶好のロケーションで食事を楽しむことができる。会期中のみではなく、「長期にわたっての実施を目指す」(水都大阪2009実行委員会の飯田さん)という川床。人と川の距離を近づけ、大阪の新たな風物詩となるはずである。
川辺の景観向上を目的に、天神橋、難波橋、錦橋の3つの橋をライトアップし、これは会期終了後も継続して実施する。写真は昨年12月に先行して点灯した錦橋。3つそれぞれの橋の歴史や、かたちに合わせたアートで個性を出す。
八軒家浜、福島港では、野菜・果物・加工品などを船に乗せて船着場で販売する水都大阪らしい「朝市」を開催。川を舞台に、大阪の魅力である「食」をテーマに展開する(毎週土曜日開催予定)。さらに、夏休みや連休には八軒家浜にマーケットやカフェも登場。水辺を楽しみながら、大阪の良さを再発見できるプログラムとなっている。
夜の八軒家浜は、ナイトプログラム「時空の架け橋」(ウォーターカーテンや噴水、ミストなどの水に関するテクノロジーを駆使した演出による、映像・水・光の幻想的なショー)を実施。また、イルミネーションアーチも時計をモチーフとしたメインオブジェに連動して点滅するなど、会場全体が一体となったショーを展開する(一回の上演時間は約10分、30分ごとの上演、月曜日を除く会期中の毎日、日没から21時まで)。
今現在の八軒家浜(写真左)。
イベント開催時には人が集まるが、普段はガランとしていて物寂しい雰囲気。水都大阪2009を機に、活性されることが期待されている。
大阪の中心部には、川でできたカタカナの「ロ」の字がある(写真左)。これは堂島川・土佐堀川・木津川・道頓堀川・東横堀川が「ロ」の字型の回廊を作ったもの。このような水の回廊が都心にあるのは、世界的にも珍しいといわれている。現在大阪では、この水の回廊を中心に、水辺を活かした設備やにぎわいづくりが進められている。水都大阪2009のシンボルともいえるこの水の回廊エリア。2008年には福島港も開港し、その背景のほたるまちも街開きを迎えるなど水辺を意識した民間開発も盛んに行われている。
■まちあるきと船による川巡りを組み合わせた「クルーズ&ウォーク」
水の回廊エリア一帯で実施する「クルーズ&ウォーク」は、まちあるきと船による川巡りを組み合わせたもの。その街に住む人がガイドとなり、街を案内する。とっておきの街ネタをレクチャーしてもらいながらのまちあるきは、「川から見た景色は違う・新しい大阪の発見があると思う」(同)とも。
■野外ライブ、川辺でのティータイムなどの「船着場プログラム」も
水辺体験プログラムとして、地域と提携・協同し、船着場をより日常的に使って楽しめるプログラムを展開する。川あそびから船あそび、野外ライブなど内容はさまざま。開催は会期中の土日が中心。
~水の回廊内側の「まちなか」でもイベント開催~
中之島界隈だけではなく、大阪市内各所のさまざまな場所で開催される水都大阪2009。歴史的建造物とアート作品のコラボや、写真で確認する大阪の魅力、水都の未来を話し合うシンポジウムなど、「まちなか」にもイベントはたくさん。
■水都アート回廊・・・鑑賞型プログラムとして、大阪を象徴する歴史的な建物や公共空間にアート作品を設置するプロジェクト。
■大阪ステキ発見・・・5月31日まで募集中の、大阪の魅力を再発見するための、写真と言葉のコンテスト。選ばれた作品は会場(八軒家浜)で展示する。ひとりひとりの視点で見た「大阪」の場所・モノ・コト。作品は現在水都大阪2009ホームページでも公開している。
■水都記念シンポジウム・・・水都の再生に向けて、「川港・大阪」「大阪固有の文化・歴史」「地域固有の表現(アート)の現在と未来」などをテーマに、多分野の専門家を招いて開催する。
★大阪に住んでいる人たちに、大阪の良さを再確認してもらいたい
水都大阪2009で目立つ「市民参加プログラム」。これは、「大阪に住んでいる人たちに動いてほしい、大阪の良さをもっと知ってもらいたい」(事務局の飯田さん)という思いから。現在、市民による水辺空間の新しい楽しみ方や水辺の活性化を提案する実施企画を募集している。たとえばフォーラムやシンポジウム、野外ライブや単発ワークショップなど。街の主役・担い手である「市民」が積極的に参加することにより、次世代の社会をつくるエンジンとなることを推進する。
★水都大阪2009を一過性のイベントではなく、継承させていきたい
これまで大阪で開催したさまざまなイベントが一過性に終わっていたことを踏まえ、水都大阪2009では、「連携・継承・継続」をキーワードとして、あらたなしくみやネットワークなどをできるだけ開催後にも残していくことを大きな目的としている。そのためにも、「できるだけ多くの市民の方に企画から運営・実施まで参画いただき、大阪のまちづくりのムーブメントを盛り上げていきたい」(同)とも。
「水都大阪2009」
期間・・・2009年8月22日~10月12日
主催・・・水都大阪2009実行委員会(会長 平松邦夫大阪市長)
テーマ・・・川と生きる都市・大阪
プロデューサー・・・北川フラム(アートディレクター)・橋爪紳也(大阪府立大学教授)
総合アドバイザー・・・安藤忠雄(建築家、東京大学名誉教授)