新規事業プロデュース、経営コンサルティングなどを手がける山口企画(大阪市中央区玉造2)は現在、大阪・城東区蒲生の街の活性を狙う長屋再生事業「がもよんにぎわいプロジェクト」を展開している。
全国でも非常に高い人口密度の城東区。蒲生4丁目交差点から半径2キロ内に約7万人が暮らしているという。一方で、古い民家の空き家が数多く点在しているのも特徴。同プロジェクトでは古民家・蔵を改修し、飲食店として再生させている。
2008年6月に、105年間蒲生で眠っていた米蔵を改造してオープンしたイタリア料理店「リストランテ・ジャルディーノ蒲生」(城東区蒲生3)を皮切りに、昨年2月にお好み焼き店「おわらい焼屋」(城東区今福西1)、同年10月に居酒屋「安来や」(城東区蒲生4)、12月に洋食店「ボストン」(城東区蒲生4)、沖縄料理店「マガラ」(城東区蒲生4)と続々オープンしている。今後は飲食店だけではなく、古い長屋を改修して「読み・書き・そろばん」を地域の子どもたちに教える「寺子屋」、蒲生の古い街並みを生かした「石畳の一本道」など企画していくという。
古民家を改修し、再生するにあたって最も重要なのが耐震。同プロジェクト主席コンサルタントの和田欣也さんはもともと耐震の設計士。「古民家改修の耐震設計は一から行うより大変」と話すが、古いものを残す喜びと生まれ変わる楽しみにやりがいを感じているという。「中崎町は雑貨、空堀がアートなら、人口密度が高くファミリーが多い蒲生はフードタウンと教育(寺子屋など)。蒲生4丁目の古い街並みの魅力を生かし、今後もどんどん出店して『生きてる街』にしていければ」とも。
昨年12月にオープンした「ボストン」「マガラ」の現場も手がけたというひろ建築工房の谷廣信さんも「やっていて面白いのは昔の職人さんの腕がわかること。古民家の持ち味をいかに生かして補強・補修するかにかかっている。50年後に孫を連れて自分がここを作ったのだと話せる店が増えていくのが楽しみ」と話す。