鶴見区の屋内植物園「咲くやこの花館」(大阪市鶴見区緑地公園2)内の「緑と水のレストラン」で昨年夏から提供している世界最大の葉を持つ水草「オオオニバス」を使用したスパゲティが、注目を集めている。
オオオニバスは南米アマゾン原産の水生植物。葉は成長すると2メートルもの大きさになり、体重40キロほどの人なら上に乗っても沈まないという。大型の魚などに食べられないよう葉の裏、葉柄やつぼみに鋭いトゲがびっしりと生えているのが特徴。原産地でも葉や葉柄を食べるという報告はない。
メニュー化を考えたのは同園植物管理係長の山本和喜さん。オオオニバスの根の植え替え作業をしているときに、発泡スチロールのような葉柄を見て「もしかしたら食べられるのでは」と思いついたという。山本さんはすぐにオオオニバスで煮物を試作、味を確認し、「これはいける」と確信。ラットを用いた毒性検査を経てレストランを訪れ、「オオオニバスを一番おいしく食べられる料理」について相談を持ち込んだ。試行錯誤の末、ようやく行き着いたのが「オオオニバスときのこの和風スパゲティ」だったという。
しかし大変なのが下準備。収穫したばかりの新鮮な葉柄はトゲが強烈であるため、素手で皮をむくどころか持つことさえ困難。「ピューラーを使って皮をむくが、熟練した調理師でも腰が引ける作業となり、調理師の間では下準備の時間を『魔の時間』と呼ばれている(笑)」という。
オオオニバスを口に運び、「レンコンのようなシャキシャキの食感がいい。和風のスパゲティとよく合う」と話すのは、天王寺区からやって来た女性・森田さん。森田さんはその昔、同園一帯で開催されていた「国際花と緑の博覧会」(1990年)に母親とよく訪れていたという。「昨年亡くなった母との思い出に今日は20年ぶりに訪れた。建物が維持されていることに安心した。まさか世界初のオオオニバス料理が食べられるなんて思ってもいなかった」とも。
「オオオニバスときのこの和風スパゲティ」は880円で、1日10食限定。営業時間は10時~17時。月曜定休。