京橋で里帰り-瀬戸内海の小島「沖家室島」出身者が京橋に結集

京橋に集まった「関西かむろ会」のみなさん。かむろ会は宇部、広島、東京にもあるが「関西かむろ会は50歳代の若い層が多いのが特徴」(関西かむろ会の戎崎会長)だという

京橋に集まった「関西かむろ会」のみなさん。かむろ会は宇部、広島、東京にもあるが「関西かむろ会は50歳代の若い層が多いのが特徴」(関西かむろ会の戎崎会長)だという

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 瀬戸内海に浮かぶ山口県の小さな島・沖家室島(おきかむろじま、山口県大島郡周防大島町)の出身者で関西在住の人たちの会「関西かむろ会」が7月5日、京橋のたこ焼き居酒屋「美輝」(大阪市都島区片町2)で集会を開いた。

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 同会の集まりは毎年7月の第1日曜日に行なわれている。ここ数年は「普段着で集まれるアクセスの良い場所」(幹事担当者)ということから京橋が会場になっている。これまでホテル京阪、グランシャトーなどで開催された。

 沖家室島は現在人口170人、周囲約5キロメートルの小さな島。「大往生の島」(佐野眞一著)の舞台となり、一人暮らしの高齢者がコミュニティーで支え合って生き生きと暮らしている島としても知られている。一方では、世界の大海原へ旅立ち移住していったグローバルな精神が育まれた島。大型テレビ番組やイベントの仕掛け人として名を馳せた不世出のプロデューサー、故・彦由常宏さんもこの島の出身だ。

 午前11時30分、戎崎勲会長(68)の「不況の中これだけの人が集まってくれて安心しました」というあいさつの下、和やかな雰囲気で会は始まった。島からは泊清寺の新山玄雄住職夫妻も訪れ、「中道さんという30代の方が島へ移り住み、民宿を始めました。これで『鯉の里』と合わせて島に2つの民宿ができたことになります」と島の近況を報告した。それから島の最近の行事を撮影したビデオを上映し、それぞれが思いを巡らせた。

 「ワシが子どものころはいつもアロハシャツを着てたんや」と懐かしそうに話すのは枚方市在住の西村良雄さん(64)。島民の多くは漁業で生計を立て、明治期に大陸やハワイに移住していき、各地からいつも豊富な物資が送られてきていたという。八尾市在住の彦由達夫さん(58)は初めてこの会に参加した。「とにかく懐かしい。島の話を聞いていると年がいもなく涙が止まらない」と声を詰まらせた。ほとんどの人たちが小学校や中学校を卒業するとすぐに島を離れているため、島に住んでいた期間は15年ほど。若くして親元を離れた惜別の思いが、長年にわたって蓄積され望郷の念を深めているようだ。高槻市在住の野間洋子さん(56)は今年1月、島で一人暮らしをしていた91歳の父親を亡くした。「島にはもう親せきもいない。遠くて簡単に訪れることもできない。そんなわたしにとってこの会は実家であり、ふるさとそのもの」。

 さまざまな思いで島を離れた沖家室島の人たち。来年もまた普段着で集まれる京橋で、ふるさとの思いに浸るのだろう。

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