大阪ビジネスパークの「イオン化粧品 シアターBRAVA!」(大阪市中央区城見1、TEL 06-6946-2260)で4月4日~5月14日、ブロードウェー・ミュージカル・レビュー「(トリップ・オブ・ラヴ)」のトライアウト公演が行われている。トライアウト公演とは、ブロードウェーでの上演を前に観客の反応を見るための「地方公演」で、日本では史上初の試み。
「この舞台のキャストは『マンマ・ミーア!』の主役や、『アイーダ』の出演者など、ユニオンに所属するブロードウェーの一流の出演者と、オーディションで選ばれた日本人で構成されており、これは画期的なこと。フルオーケストラや、トニー賞の受賞者の衣装など、これが本当のスケールだというのを味わってほしい。歌詞がそのままセリフになっており、戦争や差別のシーンも。ぜひ目で見て心で感じてほしい」――4月16日の昼公演は、総合プロデューサーの出口最一さんのあいさつで始まった。
あいさつが終わると、幻想的な音楽と照明に観客は一気に舞台に引き込まれた。「MOON RIVER」「DOWNTOWN」「VENUS」などの1960年代のヒット曲に合わせたダンスや芝居に、観客は1曲が終わるたびに「ブラボー」といった声とともに惜しみない拍手を送り、時には手拍子が出る場面も。観客は終演後も、オーケストラピットに向かって大きな拍手を送った。
第1部が終わると観客の1人は「私は芝居をしているので、大劇場でやるミュージカルから小劇団の芝居までいろいろ見ているが、これはすごい。2曲目が終わった時には、なぜか涙が出てしまった。生のオーケストラは重低音が体にズンズン響くし、全てのスケールが違う。ブロードウェーまで行かないと見られない公演を大阪で体験できるのだから、この代金は高くない。もっと沢山の人に見てほしい」と興奮気味だった。
今回オーディションで選ばれた、キャストで最高年齢の鳥居かおりさんは「25歳前後という、娘や息子みたいな年のキャストの中に入って、老体にムチ打ってやっている(笑)。何度やっても芝居が始まる前は心臓がバクバクするが、そんなドキドキを味わえる43歳もなかなかいないのでは」と話す。
「1次審査の後、1か月にわたって、軍事訓練のような9時~18時まで踊りっぱなしのオーディションがあり、30人の中から最終的に出演できる7人が選ばれた。そんな中では皆、家族みたいになっていた。オーディションに外れた人は複雑な思いもあると思うが、舞台を応援し動員してくれている」(同)と涙を見せた。
オーディションに合格した理由について、鳥居さんは「オーディション最後の日に、ジミーと出口さんに『40過ぎてよくこれだけの体力があった。よく弟分たちの面倒を見てくれた。あなたがいなかったらこんなに温かいカンパニーはできなかった』と言われた。私は元々、若い人を上手に引っぱっていくべき年齢や立場にいることは分かっていたので、元気のない人がいたら声をかけたりしていた。そういった部分がプラスになったのかも。『先が長いので性格の悪い人は入れたくない』とも言っていたから。マイナス思考が伝染するのは経験しているから、それはとても分かる」とも。
「今、第一線の方と肩を並べて踊れて本当に楽しい。ブロードウェーの舞台に立つという夢はこれからだが、43歳にしてやっと親孝行ができた。4歳からバレエを始めて、踊り続ける環境を作ってくれて、その踊りでお金を稼ぎ、これだけのキャストでステージができるなんて」(同)と笑顔を見せた。
「40代になってのチャンスに、なぜこの時期にとも思ったが、遠回りだと思われた女優の演技の勉強も含め、40代には40代にしか出来ない動きや表現があるから、きっとこの時期なんだと思う。踊りには性格や生活がすべて出るから、きちんと生きなきゃと思う」と鳥居さん。観客に向けては、「この公演には性格や考え方ともに素敵な人が沢山出ている。私自身、共演者やスタッフに毎日元気をもらっている。老若男女問わず、おもちゃ箱をひっくり返したようなアミューズメントを楽しんでください」(同)と話した。
料金は、S席=12,000円、A席=7,500円。チケットぴあ、ローソンチケット、同劇場などで販売中。
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