大阪歴史博物館(大阪市中央区大手前4、TEL 06-6946-5728)で現在、開館15周年を記念する特別展「近代大阪職人(アルチザン)図鑑-ものづくりのものがたり-」が開催されている。
明治維新以後の工芸界は東京を中心に発展を遂げ、中央から離れた大阪の作り手や作品の中には十分に世に知られないままのものも少なくないと同館が企画した。前進となる大阪市立博物館の40年を加えた55年の間の調査・収集で明らかになった大阪の職人や工芸家の作品約170点を展示。名工でありながら惜しくも名を残せなかった大阪の職人「アルチザン」が残した近代工芸を見ることができる。
展示は、テーマを3章に分けて構成。第1章は、木で作られた骨や国内最古の入れ歯など「人体表現」をめぐる作品。第2章は、刀剣や貨幣の下絵など、刀工・造幣局の職人の作品。第3章は、大阪が誇る竹や木の工芸品や、さまざまな活路を見いだそうとしたアルチザンたちの当時の様子をひもとく展示。今回初公開となる彩色された木彫りの佳品「鶺鴒(せきれい)」や、体の各部が生き物のように動かせる龍の自在置物などが見られる。
同館学芸員の内藤直子さんは「『職人』を『アルチザン』の言葉で表現しているのは、近世的な響きが総称にふさわしいと思ったから。大阪の工芸は個々に個性が強いが、それが魅力。大阪の人だけでなく、全国の人にぜひ見に来てほしい」と話す。
関連企画として、5月7日には「自在置物の魅力」についての講演会を開くほか、5月8日・6月4日には学芸員が代表的な展示品について解説を予定する。
開館時間は9時30分~17時(金曜は20時まで)。火曜休館(5月3日は開館。6日は休館)。大人=1,000円、大学生・高校生=700円、中学生以下無料。6月20日まで。