大阪造幣局(大阪市北区天満1)で4月14日、大阪の春を彩る恒例行事「桜の通り抜け」が始まった。
例年70万人から80万人の人出がある「桜の通り抜け」。同局周辺は昔から景勝の地として名高く、特に春の桜は有名で対岸を「桜ノ宮」と呼ぶにふさわしい風景が広がる。1883(明治16)年、当時の遠藤謹助局長の「局員だけの花見ではもったいない。市民とともに楽しもうではないか」との提案で構内の桜並木の一般開放が始まったという。
一般花見客に開放するのは1週間。造幣局南門から北門にかけての全長560メートルの通路で、天満橋側から桜宮橋側に向かっての一方通行となる。今年は大きく白色の花を咲かせる「伊豆最福寺しだれ(いずさいふくじしだれ)」を新たに加え、開放128周年に品種数を合わせた128品種352本の桜が通りを彩る。八重桜をメーンにほかではなかなか見ることのできない「大手毬(おおてまり)」「小手毬(こてまり)」などをそろえた豊富な品種が並ぶ。毎年選ばれる「今年の花」は大輪で濃淡な紅色の花びらを持つ「妹背(いもせ)」となった。
初日の開門時間10時にはおよそ800人が列をつくり、1時間後の入場者数はすでに6,300人に上った。例年に比べ入場者数の落ち込みは感じるものの、にぎやかな幕開けとなった。
静岡から友人と訪れた中村温子(としこ)さんは「八重桜もしだれもきれい。種類もいっぱいで楽しかった」と笑顔で話す。岐阜から夫婦で訪れたという村井武範さんは「桜の名所から来たつもりだったが、スケールが違った。もう一度来ないと」と満足そうに話していた。
「全体的にまだ四分咲き。八重桜の関山が多いので、関山が咲くと全体の見栄えが良くなる」と総務課広報室の佐久間貴敏さん。通り抜けが見頃を迎えるのは「週末から週明けになる」という。
東日本大震災を受けて一時中止となっていた大阪城西の丸庭園の「観桜ライトアップ」や毛馬桜ノ宮公園などのライトアップが9日から再開されたが、造幣局ではライトアップを中止のままとしている。
開催時間は10時~17時(土曜・日曜は9時から)。今月20日まで。