現在の大阪城の場所にかつてあった石山本願寺が織田信長と激しく対立しあった石山戦争で、本願寺勢として活躍した男を描いた映画「SAIKA~雑賀の孫市」(山口雅和監督)のパイロット版撮影が12月28日、服部緑地公園(豊中市)内で行われた。
「今回のパイロット版はドキュメンタリータッチで制作したいと思っている」と山口監督のあいさつ後、園内のユースホステル付近で撮影が始まった。雑賀衆を演じる役者らが甲冑(かっちゅう)兜(かぶと)を身に着け、崖の上で火縄銃を構えるシーンや織田信長軍との戦シーンなどを撮影していった。
山口監督が同作品を制作するきっかけとなったのは、大阪芸大在学中に独特の形状をした雑賀の兜に出合ったことから。その後も雑賀衆に興味を持ち続け、脚本を書き始めたという。
戦国時代の織田信長と浄土真宗の門主・顕如(けんにょ)が10年間にわたって繰り広げた石山戦争を描くために製作した雑賀衆の兜の数は約60個。山口監督は「構造が非常に実践的で、源氏や平家に代表される兜のデザインとは全く違う」と改めて感じたという。「恐らく、まげを結っていなかったのでは」と興味は尽きない。
映画の舞台となる石山本願寺とその周辺はCG(コンピューター・グラフィックス)で再現。CG制作はデジタルハリウッド大学大学院教授の栩木(とちき)雅典さんら「雑賀VFXチーム」が担当。今回のパイロット版も、山が燃えるシーンなどをCG合成する。
映画の公開は来年以降を予定。今回撮影されたパイロット版「SAIKA~雑賀孫市」は今年3月ごろ、YouTubeにアップする予定。