京橋駅北側の広場に4月17日、大阪市が整備した212台収容の駐輪場がオープンし、景観や通行の安全性が大きく向上した。しかし、駅周辺に乗り入れる自転車を収容しきれない状況は依然として続いており、慢性的な放置自転車問題の解消に向けて、地元、行政、鉄道各社の努力が続いている。
「新しくオープンした駐輪場も含めると、京橋駅周辺で約3,000台が収容できる。大阪市内でも屈指の多さ」と大阪市建設局の自転車対策担当の丸太さん。京橋は周辺に住宅地が多く、駅まで自転車で来て鉄道に乗る利用客が多いため、どうしても放置自転車も多くなりがちだという。
オープンしたばかりの駐輪場の横にも収容しきれなかった自転車が列を成している。大阪市が配置する「サイクルサポーター」が整理して並べるのがやっと、という状況が続く。丸太さんは「望ましくない状況だが、これしか対処法がない」と話す。
新しい駐輪場の整備を推進してきたのは、地元連合振興町会や商店街、鉄道事業者、関係行政機関によって組織された「京橋地域の安全なまちづくり連絡協議会(以下、協議会)」。2007年6月から活動を続けている。
「ちょっとぐらいなら構わへんやんか――という一人ひとりの自転車が集まって、悪い状況を作り出していることを分かってほしい」と協議会事務局の小田さん。「地道に声を掛けて、皆さんの意識を変えていくしかない」と週1回、夕方のラッシュ時間帯にメンバーが街頭に立ち駐輪場利用を呼びかけるなど啓発活動に努めている。
地域一丸となった取り組みに加え、企業独自で放置自転車に対応する例もある。京阪電鉄は昨年11月、kiki京橋オープンに合わせ、京阪交番前交差点横の敷地内に42台の駐輪場を整備した。
大阪市でも今後、必要に応じて幅の広い歩道のスペースなどを活用して駐輪場を確保するとしているが、空間には限界がある。最大の放置自転車対策は、「近距離の利用や不要不急の場合はできるだけ自転車を利用しないようにして、放置自転車の解消に一人ひとりが協力してもらうこと」(丸太さん)と協力を呼びかけている。
大阪市が整備している駐輪場は、駐輪してから最初の1時間は無料。その後24時間ごとに150円が加算される仕組み。