大阪ビジネスパーク円形ホール(大阪市中央区城見2)で舞台「セチュアンの善人」を上演する劇団往来(中央区常磐町2、TEL 06-6945-4653)が6月10日、天満橋でけいこを行った。
劇団40回公演を記念して選ばれた同作品の原作は、映画「死刑執行人もまた死す」では脚本を担当したドイツを代表する劇作家ベルトルト・ブレヒト。同作品の総出演者は一部ダブルキャストながら30人を超えた大所帯で、4月24日からけいこを重ねている。
今回のけいこは、仮のセットを使った立ちけいこ。けいこの最中も同劇団代表の鈴木健之介(すずきけんしろう)さんの演出により、次々に台本が修正された。役者たちは、台本に変更を書き込みながら、必死に食らいついていた。
同劇団の座長である要冷蔵(かなめれいぞう)さんは「半世紀近く前に発表されたブレヒトのこの作品は決して古くなく、『世の中、善人では生きられない』を、現代でも共通するテーマとして、斬新に見せたい。私が演じるワンは、今回脚色されて家族ができたので、一家のコンビネーションも見どころの一つ。台本が大阪弁なので日常に近い語り口だが、その中でどれだけキャラクター設定ができるかが勝負」と話す。
上演時間が2時間を超える舞台で、ほぼ出ずっぱりの主役を演じる、元OSK娘役の若木志帆さんは「私自身、やったことがない芝居に挑戦することになる。正直、難しい役で不安もあった。人間が持つ二面性みたいなものをうまく表現できればいいと思っている」と意気込みをみせる。
ヒロインの恋人のヤン・スン役はダブルキャストで、吉本新喜劇の「横顔が新幹線」の伊賀健二さんと、「ボーダー服のオカマキャラ」大島和久さんが演じる。伊賀さんが「こうしたまじめな芝居をするのは初めてなので、自分が皆にどう映っているか分からないが、この舞台を経験することで自分のレベルアップになると思う。皆が頑張っているので自分が頑張るのは当たり前なので、頑張るとは言えないが…」と話せば、すかさず「頑張ります!」と大島さん。伊賀さんが続けて、「今回の芝居は、やはり新喜劇と違うから」と言えば、すかさず「ファーン(新幹線の音)」(大島さん)と掛け合いを見せ、笑いを誘っていた。
大島さんは「芝居を沢山やりたくて吉本新喜劇に入ったので、この話をもらえてうれしい。自分の持っているものを全部出したい。技術が足りないのは分かっているが、先人の演じたヤン・スンとは違うオリジナルを出せれば。脚本を読んで自分が感じたヤン・スンを、かみ砕いて演じて、お客さんに伝えたい」と笑顔を見せた。
開演時間は、19日=19時、20日=14時・19時、21日=13時・18時、22日=14時。開場は各公演の30分前~。入場料は、前売り=3,500円(20日の14時の回のみ、前売り=3,000円)、当日=4,000円。チケットぴあ、同劇団制作部などで販売中。