
ホームレスの自立支援に取り組む「ビッグイシュー日本」(大阪市北区堂島2)が手がけるシェア型書店「希望をつむぐ本屋さん」(旭区千林2)がオープンして、8月4日で1カ月がたった。
同店は、小さな区画に分けられた本棚を月額2,500円で貸し出す「シェア型」。利用者は「棚主」として自分の選んだ本を自由に並べ販売することができる。店内にはテーブルと椅子を設け、本を読むことができるほか、ドリンクも提供する。
運営するのは、ホームレスの仕事を創出することを目的に活動するビッグイシュー日本。「社会的排除にあった人々に就労機会を提供する」という理念の下、2003年に雑誌「ビッグイシュー日本版」を創刊。販売者は路上で雑誌を1冊販売するごとに、定価500円のうち250円が利益となる。これまでに累計1014万冊以上を販売。延べ2095人が販売者として登録し、16億6,113万円以上の収入を生み出してきた。今年4月には500号を発行した。
ビッグイシュー日本の森さくらさんは「近年、気候変動の影響で、特に夏は路上での販売が難しい。販売者が安心して仕事をし、安定した収入を得てもらう仕組みづくりの一環として、この本屋をオープンした」と話す。
取材日に店頭に立っていたのは販売者歴20年の入島輝夫さん(65)。営業中は接客やドリンクの提供などを行う。35歳の頃に路上生活を経験。42歳から販売者として活動し、現在はアパートで生活している。「路上では販売数に応じて収入が決まるが、この店なら販売数にかかわらず収入が得られるので生活の安定につながってありがたい」と入島さん。現在、入島さんを含む9人の販売者が日替わりで店頭に立っている。
香川県から棚主として参加している「ルリ舎」さんは「最近ビッグイシューを初めて読んだが、内容がとても充実していて面白かった。同社の考え方にも共感し、棚主として参加することを決めた」と話す。
森さんは「シェア型の本屋を楽しんでもらいながら、私たちの活動やビッグイシューの魅力を伝えていけたら」と意気込む。
営業時間は10時30分~17時30分。月曜~木曜定休。