難波宮の発掘調査開始から70年がたったことを記念して、大阪歴史博物館(大阪市中央区大手前4)の6階特別展示室で現在、難波宮とゆかりのある「大化の改新」にスポットを当てる特別展が開催されている。
「大化の改新」は、645年に中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我氏を滅ぼした「乙巳(いっし)の変」を経て行われた、新たな国づくりのための政治改革。学芸課長の松本百合子さんは「古代日本のターニングポイントとなった『大化の改新』が行われたのが『難波宮』だ」と話す。
難波宮は、現在の法円坂周辺に造られた古代の宮殿で、同館の隣に跡地が残る。当時、その一帯は海に面しており、中国大陸や朝鮮半島との交流の一大拠点だった。
それを示すものが、今回展示する「百済(くだら)土器」と「新羅(しらぎ)土器」。難波宮の造営前から使われていたもので、「百済」「新羅」といった朝鮮半島の国々との交流が盛んに行われていたことが伺える。松本さんは「外国とダイレクトに交流できたこの地で、新しい宮殿を造り、新しい政治を行おうとしたのでは」と話す。
難波宮は、天皇の住まいである「内裏(だいり)」、政治を行う「正殿(せいでん)」、役所である「朝堂院(ちょうどういん)」が、南北に整然と並ぶ配置になっている。この構造は、後の藤原京、平城京にも引き継がれた。
同展の展示品は約100件。中でもひときわ目を引くのが、頭部だけで1メートル近くある「山田寺仏頭」(レプリカ)。松本さんは「造られたのは『大化の改新』が行われた時期。新しい世の中を作ろうという人々の理想が、仏像の若々しい顔に現れているのでは」と推察する。
開館時間は9時30分~17時。火曜休館。8月13日は臨時開館。観覧料は、特別展のみ=大人1,100円、高大生730円、常設展との共通券=大人1,590円、高大生1,060円。中学生以下と障害者手帳持参者(介護者1人を含む)は無料。8月26日まで。