京橋駅南口近くで43年にわたり婦人服や下着などを販売してきたブティック「ADULT(アダルト)」(大阪市城東区新喜多1)が年内で閉店する。
シルクやテンセルなど高級素材の婦人服を多く取り扱う同店。スリッパで入るアットホームな店内では、常連客が何時間でもおしゃべりできるようにと椅子も用意する。
店主の吉田知鹿子さん(81)が大手下着メーカーに勤めていた経験を生かし、1980(昭和55)年に小さな下着店から始めた同店。3人の娘を育てながら、大衆食堂を営む夫の店の脇に店を構えオープンしたが食堂は閉店し、26年前、全面的にブティックへと改装した。昨年2月に夫の体調が悪くなったことがきっかけに、自身が元気なうちに店を畳んだ方が常連客や取引先に迷惑をかけまいと閉店を決断した。
43年間を振り返り吉田さんは「バブルの時代は、セールになると一日でハンガーラックの商品全てが売り切れた思い出も。常連の方が亡くなるなど寂しい思いもしたが、夢だった洋服店を今まで続けてこられて幸せ」と話す。
吉田さんは「今でも閉めたいとは思わないが、今後は長年支えてくれた夫に恩返しをして一緒に温泉に行ったりゆっくり過ごしたい」と笑みをこぼす。
現在、閉店セールを行っており、100着以上の商品は全て半額から7割引きで販売している。閉店時期は、秋服と冬服を販売し終わった年内を予定。
営業時間は10時~18時。日曜・祝日定休。