大阪・京橋の居酒屋「おかげさま」(大阪市都島区東野田町3、TEL 06-6354-8838)で10月30日、一つの食材を味わい尽くす「京橋○○づくし会」が開かれた。
企画したのは地元在住の江川和宏さん(38)。江川さんは配管設備設計の仕事の傍ら、京橋の全ての飲食店を巡る「京橋グルメ部」など地元を盛り上げるさまざまな活動を行っている。同会では毎回テーマとする食材を決め、それを使ったコース料理を店に頼んで作ってもらい皆で楽しむ。「京橋がグルメな街であるということを知ってもらうために結成した」と江川さん。フェイスブックで呼び掛けたところ15人が集まった。
今回は旬の食材「クリ」がテーマ。「京橋栗づくし会」を実現するために協力してもらえる店を探したところ、なじみの居酒屋「おかげさま」店主の田中一彦さん(28)が「面白そう」と二つ返事で引き受けてくれたという。田中さんは地元京橋の中学を卒業後すぐに料理の世界に飛び込み、3年前に自身の店を開業した、この道14年の料理人。
当日は14人が参加。「くりきんとんかくりご飯が出てくるのでは」という発起人・江川さんの予想は見事に外れ、登場したのは、肉じゃがにくりを入れた「ニクリじゃが」、ポテトサラダならぬ「くりポテ」、クリで作った「くりじょうゆ」など8品。一同が味わったことのない、くりメニューが並んだ中でも極め付きは、「いがぐり見つけました」という不思議な名前の一品。豆腐とレンコンを団子にした中にクリを入れ、その周りをそうめんの衣で包んで揚げた料理だった。この日だけのために作られた品々は、「話が決まってから1カ月間、営業後にずっと考えて試作を繰り返した」と田中さんは振り返る。
8品に2時間飲み放題が付いたコースで4,000円という価格に、参加者からは「大変お得」「あり得ない」という声が上がった。枚方から参加した女性(39)は「クリは調理するのが面倒。それをいろいろな形で食べられるのは、とてもぜいたくな気分」と満足そう。江川さんは「こんな企画が実現できるのが京橋のいいところ。今後も続けて街を盛り上げたい」と意気込みを見せる。
次回は11月27日、同じく「おかげさま」で「ニンニク」をテーマに開く予定。