徒歩で日本縦断に挑戦している金澤裕記さん(32)が5月13日、京橋に到着、スタート地盛岡を出発してから8カ月目となる。
金澤さんは岩手県盛岡市出身。もともと飲食店で働いていたが、震災の影響もあり仕事と私生活のバランスが崩れてしまった時期があったという。そんな時勤め先の店長から「今のままではだめだ。お前には力があるから、自分の力を付けてこい」と言われたのをきっかけに、「旅先で人と交流することで、何か自分にできることを見つけられるのでは」と、盛岡から沖縄までの日本縦断を決意。「日本人なのに東京より西に行ったことがない。日本のことを知らないし見たことがない」と、景色などをゆっくり楽しめる徒歩を選んだ。
昨年9月1日に盛岡を出発した金澤さん。宮城、福島、栃木を経て埼玉、東京、千葉、神奈川と太平洋側を歩いてきた。20キロほどある大きなリュックサックに「岩手から来ました!」などと書いたホワイトボードを付けて歩くのが旅のスタイル。「荷物を見て話しかけてくれる人もいる」といい、コミュニケーションツールにもなっている。静岡と愛知ではラジオや新聞でも取り上げられたほか、仕事を紹介してもらったり泊まる場所を提供してもらったりするなど「人とのつながりをすごく感じた」と話す金澤さん。名古屋では、飛び込みで入ったバーでアルバイトをしながら冬の3カ月ほどを過ごしたという。
4月に入り再び歩き始め、滋賀と京都を経て大阪に入り、京橋に到着。「行き先は決めていない。出会った人に紹介してもらうなどして決めている」と笑う金澤さんは、「下町のいい雰囲気があって面白い街」と京橋の印象を語る。アルバイトが見つかれば、京橋に少し滞在する予定という。
金澤さんは「野宿もしたし、歩くペースを間違えて足が動かなくなったこともある。でも行く先々の皆さんがいい人ばかりで、日本全部が自分の地元のように感じている。これからも旅を楽しみたい」と話す。