京阪電気鉄道(大阪市中央区大手前1)の旧3000系特急車(テレビカー)が3月31日にラストランを迎え、同社とJTB西日本(大阪市中央区久太郎町2)は共同で「貸し切り撮影会ツアー」を開催、引退を惜しむ多くの参加者でにぎわった。
同車両は1971(昭和46)年にデビュー。特急料金がかからない特急車として人気を集めたほか、世界初の一斉転換式クロスシートの採用や日本初のカラーテレビを設置した3500形車両などで話題を集めた。今回の引退は、特急として運用できる新車両が増えたためダイヤ改定に合わせ決まったもの。ファンのため同ツアーを開催することにしたという。
ツアーでは、ラストランの終着駅となった淀駅から回送となった同車両に参加者が乗車し淀車庫まで移動、その後2時間思い思いに撮影を楽しんだ。参加者には同車両の赤と黄色をイメージした花束を進呈したほか、同車両への思いを書くためのメッセージカードを手渡した。メッセージカードは後日発売する記念DVDや特設ウェブサイト「さようならテレビカーありがとう旧3000系特急車」で紹介する予定だという。
同ツアー定員200人分のチケットは、販売開始1分で完売。関西圏外からの参加も多く、当日は多くの人が早い時間から詰め掛け、「子どものころから親しんだ3000系がなくなるのが寂しい」「残念だ」などと最後の別れを惜しんでいた。
JTB西日本・広報担当の岡部久人さんは「今後もこのようにお客さまに喜んでもらえ、心に響く企画を考えていきたい」。京阪電気鉄道・広報担当の中西一浩さんは「長い間京阪特急の顔として活躍した車両が、これだけたくさんのお客さまに別れを惜しんでもらい幸せな車両だと感じている。今後は乗り心地などを引き継いだ8000系を利用してもらい、新しい思い出をつくってもらえれば」と話す。