大阪歴史博物館(大阪市中央区大手前4)で現在、特別展「ウクライナの至宝-スキタイ黄金美術の煌(きら)めき-」が開催されている。
ロシアの西側、黒海の北岸に位置するウクライナ。同展は日本との外交関係樹立20周年を記念して開催。紀元前からロシア帝国時代のウクライナまでの各時代の民族や文化を表す資料約220点を展示する。いずれもウクライナ国立歴史博物館、ウクライナ歴史宝物館が所蔵する国宝級の資料ばかり。
「特に目を見張るのはスキタイの黄金製品」と話すのは学芸員の寺井誠さん。スキタイは紀元前7~3世紀に黒海北岸を中心に勢力を持った騎馬遊牧民で、巨大な古墳を造り、多数の黄金製品を副葬した。黄金製品にはグリフィン(ワシとライオンが合体した想像上の動物)やライオン、ヒョウ、シカなどが写実的に描かれている。中でも金を上張りして作られた「猪頭付き剣と鞘(さや)」、「ゴリュトス(弓矢入れ)」、全て金で作られた「胸飾り」のレプリカは特に貴重なもの。動物をモチーフにしたものはそれぞれ何が表現されているのか、天王寺動物園や海遊館の協力を得て実際の動物の写真を並べるなどの説明パネルを用意した。羊の搾乳をする様子などスキタイの日常生活が表現されている部分もあり、動物の生態の歴史を見る上でも貴重なものになっているという。
「とにかく動物の表現力は見応えがある。イラストなども使い子どもでも分かりやすくしているのでぜひ見に来てほしい」と寺井さん。9月30日、11月23日には前天王寺動物園園長の長瀬健二郎さんが展示の見どころを解説する「スキタイ動物トーク」を開催予定。
開館時間は9時30分~17時(金曜は20時まで)。火曜休館。入館料は、大人=1,200円、大学生・高校生=800円、中学生以下無料。「スキタイ動物トーク」のみの参加費は200円。