
牛乳石鹸(せっけん)共進社(大阪市城東区今福西2)が服を着たままでも洗髪ができる新しい電化製品「ススグ」を開発し、オープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE」(都島区東野田町4)で7月28日、発表イベントを開いた。
今回の発表は、同社が立ち上げた新規事業「YUAGARIプロジェクト」の一環。「お風呂の価値を外に持ち出す」をテーマに、これまで浴室内でしか得られなかった「清潔さ」「癒やし」を、より自由に幅広い場面で実現することを目指しているという。
開発したのは、ポータブルサイズのブラシ型デバイス「ススグ・ミストブラシ」(2万2,000円)と、頭皮全体に吹き付けることで皮脂や汚れを浮かし、少量の水で洗い流すことができる「ススグ・ミストシャンプー」(1,870円)。使い方は、ミストシャンプーを吹きかけた後、ミストブラシで髪をとかすようになでるだけ。風呂場以外の場所でも洗髪でき、必要な水はコップ1杯分だという。医療ケアや介護の現場、けがや入院中、災害時など、髪を洗うのが難しい状況を想定して開発した。
開発には、電子機器の製造などを手がける晴海(堺市)や、ヘアブラシの製造などを手がけるベス工業(東大阪市)、インクルーシブデザインを手がけるレデソン(大阪市)などの地域企業に加え、ANAホールディングス(東京都港区)も共創パートナーとして参加。イベントでは、製品化までの試行錯誤や宇宙での利用も見据えた将来的な展望を紹介したほか、商品体験などを行った。
牛乳石鹸は1909(明治42)年創業。赤箱・青箱シリーズをはじめとするせっけん製品で知られるが、近年ではボディーケア、フェースケア、ヘアケア分野にも力を入れており、今回が初の電化製品の開発となる。
8月22日からは大阪・関西万博「TEAM EXPOパビリオン」にも出展予定で、来場者との対話を通じた共創も目指すという。
プロジェクト責任者の江越亮一さんは「2021年に行った被災経験のある方へのヒアリングで『風呂に入れない』という困り事を知ったことが開発のきっかけになった。この商品で『新しい清潔の形』を作りたい」と話す。
同商品は8月下旬~9月上旬に発売予定。