大阪・京橋の出版社トライアリスト(大阪市城東区新喜多1)が「ユマニチュード 老いと介護の画期的な書」を出版して3カ月が過ぎた。
ユマニチュード(Humanitude)とは、認知症により攻撃的、徘徊(はいかい)などの問題を抱える高齢者などに対するコミュニケーションを軸とした新しいケア技法。フランスで1979年、イブ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティ両氏によって開発された。「見る」「話しかける」「触れる」「立つ」の4つの基本要素ごとに150の技術で構成したケア法が中心。
翻訳を手掛けたのは同社社長の辻谷真一郎さん(61)。28歳のころ、スペイン留学から帰国した際に知人からスペイン語の医学書の翻訳を依頼されたことがきっかけで、以来30年以上にわたり医学書を中心にさまざまな洋書の翻訳に携わってきた。その辻谷さんが翻訳した数多くの本の中で「唯一この本は自分で出版したいと思った」と振り返る。
2007年に出版された原書の翻訳を依頼され、「これほどに人間とはなにかを捉え、老いと介護を包括的かつ緻密に取り扱った本は考えうる限り皆無」と語る辻谷さんの強い思いが出版の原動力になった。フランス語の専門的な用語を一般の人にもわかりやすく意訳するのに苦労したという。
マスターズ陸上の競歩の現役選手として、さまざまな大会に参加している辻谷さん。「スポーツと語学を通して老化と向き合う活動に取り組んでいきたい」と抱負を語る。
価格は2,700円。全国の主要書店、amazonなどで扱う。