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京橋駅前のラーメン「花京」、立ち退きでやむなく閉店 大正区へ移転

3月30日、最終日に店に立つ店主の坂本真一さん

3月30日、最終日に店に立つ店主の坂本真一さん

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 京橋駅前商店街のラーメン店「花京」(大阪市都島区東野田3)がJR環状線高架下の立ち退きに伴い3月30日で閉店し、大正区へ移転した。

「こってり背脂中華そば」

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 2002年8月にオープンした同店。不動の人気を誇る「こってり味」と固定ファンが多い「あっさり味」が二大看板メニュー。店主の坂本真一さん(49)は「京橋で商売の厳しさを教えてもらった」と15年間を振り返る。30歳で独立開業を目指し脱サラした坂本さん。「藤平」「黒兵衛」などの大手ラーメン店などで修業を積んだ後、35歳で開業に踏み切った。大阪中の駅前に物件を探し求めた結果、それまでにためた資金500万円で店を出せる唯一の物件がここ京橋だった。「京橋は立ち飲み屋が多く、怖いイメージ。やっていけるかとても不安だった」(坂本さん)

 今でこそ1日約300人が訪れる有名店だが、開業当時は1日20~30人程度。1年半ほどは従業員に給料を払うと手元にはほとんどお金が残らず「牛乳や卵も買えず妻子に辛い思いをさせた」。そんなある日、近隣の飲食店の店主から「良い客は良い店に訪れる」とアドバイスされた。どんな悪質な客でも店員が丁寧にしっかりと接することで良い客になるのだという。「接し方の意識を変えることでお客さんとの距離がぐっと近くなった」という。

 立ち退きの話が出てから京橋に物件を探すも全く空きがなく、やむなく環状線内で知り合いの同業者がいない大正駅前を移転先に決めた。常連客からは「京橋を捨てるんやな」と嘆きの声も。「(京橋を出ることは)故郷を離れる気分。ここにはたくさんの知り合いがいて、いつでも自分を温かく迎えてくれる」。そう言いながら坂本さんは、近隣の店一軒一軒にあいさつをして回り、京橋を後にした。

 本店は京橋にあるという思いを込めた「花京大正駅前店」(大阪市大正区三軒家東1)は4月2日にオープンした。

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