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大阪・都島の「桜ノ宮活版倉庫」が3周年-レトロな活版印刷の風合いが好評

50年以上使われ続けている印刷機「ハイデルベルグプラテン」

50年以上使われ続けている印刷機「ハイデルベルグプラテン」

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 大阪・都島の活版印刷所「桜ノ宮活版倉庫」(大阪市都島区中野町4、TEL 050-3566-8919)が5月7日で3周年を迎える。

廃業した職人から譲り受けた1万字の活字版

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 活版印刷とは、活字を組み合わせた版を使う印刷方法で、40年ほど前までは印刷の主流だった。かすれやにじみなど独特の風合いが出ることが特徴で、名刺やショップカード、結婚式の招待状など「デザインにこだわりたい」という人々の間で近年再び注目され始めている。同印刷所では、店舗の経営者や士業を営む人からの注文が多いという。

 同印刷所代表の小瀬恵一さん(35)が操るのは、50年以上現役だという活版印刷機。注文を受けると好みの風合いを聞いた上で印刷する。客に印刷所に来てもらい実物を確認しながら進めることもあるという。時間も手間もかかるが、「インクの乗りや版の角度を職人が微妙な調整を繰り返して作る、アナログな印刷工程が面白い」(小瀬さん)という。

 使用している印刷機は3年前まで京都の印刷所で使われ、廃業に伴ってスクラップされることになったもの。もともと活版に興味を持っていた小瀬さんは話を聞いて直接印刷所を訪ねたところ、70歳を過ぎた職人から「この機械で子どもを大学まで行かせた。すべて捨てずに持っていってくれるなら使ってほしい」と言われ開業を決意。友人3人と共に印刷機を設置する場所を確保して、1万字にもなるという活字版と共に道具一式を譲り受けた。

 小瀬さんは「活版印刷の伝統を守るとか、大それたことはできない。ただ自分が60歳になってもこの機械を動かし続けていきたい」と力を込める。「まだ大阪にも活版印刷所があるはず。職人のおじいちゃんから活版の話をもっと聞きたい」とも。

 同印刷所では活版印刷の見学やワークショップも開催している。詳しくはホームページで確認できる。

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